人が亡くなると、待ったなしでその瞬間から相続が始まります。多くの方は始めて相続について考えることになるので、何から始めれば良いのか?各種手続きはどう進めていくか?誰に相談すれば良いのか?など分からないことがたくさんあり、なおかつ相続の手続きは複雑で、専門的な知識が必要のため、手続きはなかなか思うようには進みません。
まずは相続手続きの全体的な流れを知り、場合によっては専門家と手続きを進めていくことをお勧めいたします。
人生の中で誰もが一度は経験する「相続」。
しかし多くの方がそこで初めて相続の経験をすることになると思います。
当然経験がないことなので、手続き等はスムーズに進まないと思います。
また相続がきっかけで相続が争族になってしまい、これまで仲の良かった家族、親族関係が悪くなってしまう可能性もあるかと思います。
相続についての基礎的な知識をまとめましたので、少しでも相続でお悩みの方の力になれればと思いますので、何か一つでも参考になれば幸いです。
また相続は人それぞれ違います。インターネット等で調べても、今の自分の状況に完全に一致する情報というのはなかなか得られないと思います。
相続で何かお悩みがある場合は、初回のご相談は無料でご用意しておりますので、お気軽に当事務所へご相談お待ちしております。
相続とは?
相続は、被相続人が死亡することによって、死亡した被相続人の財産上の一切の権利義務を法律で定められた相続人が、包括的に財産を承継することをいいます。
分かりやすく言いますと、被相続人の金銭や預金、不動産などの財産だけでなく、借金や負債なども含めて、一身専属性のあるものを除く、被相続人の財産の全てを相続人が相続することをいいます。
一身専属性のある財産とは年金受給権や生活保護受給権、雇用契約や行政書士、医師などの国家資格などです。こうした権利は相続の対象外となります。
また「被相続人」とは亡くなった方のことを指し、「相続人」とは亡くなった方の財産を引き継ぐ方を指します。
相続の開始は?(相続はいつ始まる?)
相続は被相続人の死亡と同時に開始されます。
被相続人の死亡と同時に被相続人の遺産は法定相続人や遺言書で指定された者に継承されます。人が亡くなると、慌ただしく法事等が続いて、なかなか相続のことを考える時間も余裕もないかと思いますが、非情にも相続は待ったなしで始まってしまうのです。
相続するのは誰?法定相続人と法定相続割合
まず「誰が遺産を相続するのか?」ということが重要です。相続のルールにおいて「遺言書の有無」が大きく影響しますが、基本的に遺産を相続できる人は法定相続人と受遺者です。
法定相続人とは被相続人の配偶者、子供、両親、兄弟姉妹など。
受遺者とは遺言書で指定された遺産の受取人。
それでは遺言書がある場合とない場合(法定相続)について解説していきます。
1.遺言書がある場合
遺言書がある場合には原則として遺言書(故人の意思)の内容が優先されます。
つまり被相続人が生前に遺言書を作成していて、被相続人の財産の受取人を指定している場合は、基本的にその受取人(受遺者)が被相続人の遺産を受け取ることになります。
2.遺言書がない場合(法定相続の場合)
遺言書がない場合、または遺言書に受取人を指定していない財産がある場合は、民法に従い、法定相続人が遺産を受け取ることになります。
民法では相続人(法定相続人)と相続割合(法定相続割合)が定められています。
まず法定相続人につきましては配偶者(法律上の婚姻関係のある配偶者。事実婚や内縁の妻は含まれません。)は常に相続人となります。配偶者以外の親族は相続する順位が決まっており、相続順位が高い人が相続人となります。
法定相続人の順位は以下のとおりです。
法定相続人の順位
常に相続人:配偶者(妻や夫)
第一順位:直系卑属(子や孫など)※代襲相続あり。制限なし
第二順位:直系尊属(父や母など)
第三順位:兄弟姉妹 ※代襲相続あるが甥、姪まで
第一順位の子が生きていれば、相続人は配偶者と子になります。しかし子がすでに亡くなっていて亡くなった子に子(被相続人からみた孫)がいる場合は配偶者と孫が相続人となります。
第一順位の子や孫がいない場合は配偶者と第二順位の父や母が相続人となります。
第一順位の子や孫、第二順位の父母がいない場合は、配偶者と第三順位の兄弟姉妹が相続人となります。
このように配偶者は常に相続人となり、相続が始まった時点で一番順位の高い親族が法定相続人となります。 法定相続人=「配偶者」+「一番順位の高い親族」。
次は法定相続割合について解説していきます。法定相続割合に関しましては、配偶者と誰が相続するのかによって割合が変わってきます。
法定相続割合の基本的なパターンは以下のとおりです。
法定相続割合
①配偶者と子二人が相続する場合
※配偶者の相続分は1/2 子の相続分は1/2×1/2(子の人数)=子一人の相続分は1/4ずつ
※被相続人の父母、兄弟姉妹には相続権はない
※配偶者が死亡している場合は子が1/2ずつ相続する
②配偶者と直系尊属(父、母)が相続する場合
※配偶者の相続分は2/3 父母の相続分は1/3 父母各自の相続分は1/3×1/2 =1/6
※父母がすでに死亡で祖父母がいれば、祖父母が各自1/6
※兄弟姉妹に相続権はない
※配偶者が死亡している場合は父母が各自1/2ずつ相続する
③配偶者と兄弟姉妹が相続する場合
※配偶者の相続分は3/4 兄弟姉妹の相続分は1/4 兄弟姉妹が二人の場合は1/4×1/2=1/8
※配偶者が死亡している場合は兄弟姉妹が相続する。兄弟姉妹が二人の場合は1/2ずつ
④内縁の配偶者と子二人が相続する場合
※内縁の配偶者は相続人とならないため、子二人が各自1/2ずつ相続する
⑤配偶者とすでに死亡している子がいて、その子の子(被相続人の孫)が相続する場合
※配偶者の相続分は1/2 子の相続分1/2は孫が相続する(代襲相続)
相続財産とは?
相続開始時に亡くなった人(被相続人)の財産のことを言います。
具体的には、不動産(土地や建物)・借地権や借家権、現金、預金、有価証券、自動車、骨董品・宝石などのプラスの財産。
その他、電話加入権や損害賠償請求権、慰謝料請求権なども相続財産となります。
またプラスの財産だけでなく、被相続人が残した借入金や未払い金等のマイナスの財産も相続財産に含まれます。
なお、一身専属性のある財産である年金受給権や生活保護受給権、雇用契約や行政書士、医師などの国家資格など、こうした権利は相続の対象外となります。
また受取人が決まっている死亡退職金や死亡保険金も相続財産には含まれません。
死亡退職金は被相続人の死亡により基本的には会社の就業規則や退職規定により受取人が定められていて、その受取人固有の財産となります。
死亡保険金も受取人が指定してある場合は、受取人固有の財産となります。
ただし、死亡保険金の受取人が被相続人自身になっていた場合は、相続人が受取人の地位を継承するため、相続財産に含まれます。
相続財産の分け方(遺産分割の方法)
相続財産の分け方については大きく分けると3つの方法があります。
- 遺言書の内容で分ける(最優先)
- 相続人全員による遺産分割協議で決める
- 家庭裁判所で調停・審判
1.遺言書の内容で分ける(最優先)
相続の流れとして、被相続人が遺言書を残しているのか?が大きな分岐点となります。
遺言書がある場合には原則として遺言書(故人の意思)の内容が優先されます。
つまり被相続人が生前に遺言書を作成していて、被相続人の財産の受取人を指定している場合は、基本的にその受取人(受遺者)が被相続人の遺産を受け取ることになります。
金融機関や不動産の手続きは遺言書、その他、戸籍などの必要書類収集して進めていきます。
ただし、相続人や受遺者全員の合意があれば、遺言書とはちがう方法で遺産分割することも可能です。
まずは被相続人が遺言書を残しているか、しっかりと確認しましょう。
2.相続人全員による遺産分割協議で決める
次に被相続人が遺言書を残していない場合は、相続人全員で相続財産をどのように分けるのか話し合い、分け方について相続人全員が合意しなければなりません。
この話し合いのことを遺産分割協議と言います。
しかし遺産分割協議はなかなか話し合いがまとまらないケースが多いです。
代表的な例としては、相続はお金の問題(相続財産)が全面的に出るため、これまでの親族間の不満が爆発してしまい、なかなか話し合いにならなかったり、そもそも住んでいる場所や仕事の都合上、相続人が集まって話し合うのも困難です。
必ずしも相続人全員が顔を合わせて、話し合いをすることまでは求められていませんが、必ず相続人全員が相続財産の分け方について合意しなければなりません。
また相続人の中にはすでに死亡していて、代襲相続により相続人の子が相続権を持っている場合もあります。
相続人の中に未成年者がいれば、法定代理人または特別代理人、認知症の人がいれば成年後見人を交えて話し合いをしなければなりません。
遺産分割協議に相続人全員が合意した場合は、合意した内容を書面にします。
この書面のことを遺産分割協議書と言います。
話し合いで決めた内容、誰がどの財産を相続するのかということを書面にし、相続人全員で署名捺印します。
必ず作成しなければいけないということではありませんが、相続人全員が合意した証明となりますので、基本的には作成します。
また相続財産に不動産が含まれている場合は、遺産分割協議書がなければ不動産の相続手続きはできません。(相続人が一人の場合除く)
金融機関と不動産の手続きは遺産分割協議書とその他、戸籍などの必要書類収集してから手続きを進めていきます。
このように遺言書がない場合の基本的な相続手続きの流れとしては、遺産分割協議にて相続人全員の合意→遺産分割協議書の作成(戸籍や不動産関係書類など必要書類の収集含む)→金融機関や不動産の手続きとなります。
3.家庭裁判所で調停・審判
相続人間の遺産分割協議がまとまらない場合は、話し合いの場は家庭裁判所での調停に移行します。調停とは、相続人同士の間に家庭裁判所に入ってもらい、話し合いをして遺産分割協議の合意を目指していくイメージです。
調停でも相続人同士の話し合いがまとまらなければ審判に移行します。審判とは裁判官が相続人全員の意見を聞いたうえで「審判」という決定を出すことにより、遺産分割方法を決めるというイメージです。
裁判官が最終的な遺産の分け方を決めることになるので、相続人全員が納得する遺産の分け方になるとは限りません。
相続争いを事前に対策するためには
相続争いの最大の予防策は遺言書を作成することです。もし遺言書を作成しないまま、あなた様が亡くなってしまうと、あなた様の残した財産をどのように分配するのかということを、相続人同士で話し合い(遺産分割協議)をして決めなければいけません。相続争いで揉めてしまうケースはほとんどの場合が、この相続人同士で話し合いをして決めるというケースです。相続人同士、住んでる場所や仕事の関係、たまたまその時にお金に困っている人がいる場合など、様々な事情があり、なかなか話し合いがまとまらないものです。あなた様の財産をどのように分配するのかということが決まっていないから、相続人同士で決めなければいけなくなります。
しかし遺言書を作成して、ご自身があらかじめ自分の財産の分け方を決めておけば、相続人同士話合いで決めるということがなくなり、遺言書には法的効力があるので基本的には遺言書のとおりに財産を分けることになりますので、事前に相続争いを予防できる強力な方法となります。また、相続の手続きの際にも、不動産や銀行の手続きをする時に、遺言書があれば遺産分割協議書はいらないのでスムーズに手続きをすることができるので、残された相続人の相続手続きの負担が大きく減ります。
相続の手続きにお困りの方、又は遺言書作成にお悩みの方は、遺言書・相続を専門に扱っている当方行政書士に、お気軽にご連絡していただければと思います。
初回の相談料は無料で受けますので、ご相談のみでも結構ですので是非お気軽にご利用くださいませ。
弓野達矢行政書士事務所
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